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チベットショップ奮闘記

自由ヶ丘でチベットに関するグッズを売るお店マニマニを経営する店長とスタッフ達の奮闘記。 日々の出来事、お店の最新情報、旅のエピソード、 チベット周辺に関わる情報交換などなど

座礁

ゴゴッと音がしたような気がする。
浅い眠りから醒めて、目をこする。

また蚊に喰われた~。今度は腕と顔だ。

ところで今の音は? ボート止まってる!?


舟が座礁したらしいと教えてくれたのは
隣にハンモックを吊ってるドイツの青年。
乾季で水かさが足りず、水底の岩か何かに乗り上げたようだ。

だが乗客達にたいした動揺は無い。
何しろ川幅も20メートルそこそこで、この浅瀬。
万一のことがあっても命を失うような危険はなさそうだ。

私はさっさと自分のハンモックに戻り
蚊に刺されないようにと蓑虫のように丸くなる。

★★★

翌日プノンペンからタグボートのようなものがやってきて、
座礁した舟を引っ張ることになった。

乗客は救援ボートを待つ半日は少々退屈したが、
いよいよ引っ張るという段になるとカンボジア人も外人旅行者も
ヤンヤの喝采で囃し立てた。 ちょっとしたエンターテイメントだ。

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ところが引っ張られるボートはびくともせず、何度もトライしたがダメ。
あきらめムードが漂う・・・

そうなると乗客もそうそう楽観的でいられなくなり、
痩せこけた船長に詰め寄る輩も出てくる。

結局もう一便別の舟をプノンペンから仕立させ、
乗客はそちらに移るということに。

タグボートはお役御免で去ってゆく。
そろそろ日が暮れる。 
また蚊に食われながらここで寝るのだ・・・

横を見れば、今朝プノンペンから出発したスローボートが
我々を追い越してゆく。

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ムンクの月

    
言われたとおりの段取りで案外スムースに事は運び、
間もなく船出となる。
波止場で手を振る人との別れの情緒など全く無く、
乾季で水かさもな茶色い川に豪快なエンジン音は鳴り響く。

吊るされた無数のハンモックを揺らしながら
真っ白な煙と共に滑りだす。

(なんだかワクワクする)

 *********

アンコールワットを一目見たくて、カンボジア情勢が落ち着くのを待っていた私だが
旅先で出会う旅行者達からの情報を集めた結果、
今はほぼ大丈夫との判断に至ってバンコクからプノンペンに飛んだ。

私の旅した'93年のカンボジアは、長い内戦が終結し総選挙も行われて
平和を取り戻しつつはあったが、
ポルポト派による粛清で100万とも300万とも言われる国民が処刑された
恐怖時代の爪あとはまだあちこちに残っていた。

特に、内戦に使われた地雷が農村のあちこちに埋められたままで、
農民の生活に大きな支障を来たしたままだった。

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**************************



舟はのどかな田園風景の中を快調に飛ばしてゆく。
船旅という言葉が持つリッチなイメージとは程遠いものだったが、
やっぱスピードボートだわ~、と満足する私。

日も暮れ始めていつの間にか東の空に低く月が登っている。
満月だった。

そして水面にはオレンジ色の光が丸太のように浮出る。

モーゼの十戒! 違う・・・・
ノルウェーで見たムンクの月だ!
 
しばし絶景に言葉を失う・・・

(なんだかいいことずくめで後が怖い・・・・)

残念ながらこの予感は的中してしまい、その後とんでもない不運に見舞われる。

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'93 カンボジア

昨年秋、上野でムンク展を見た。

私はヨーロッパ放浪中の'91年にオスロの美術館でムンクを見たのだが、
それ以来の再会を果たした作品も多く、懐かしい思いで巡った。

ムンクの風景画をご存知の方は思い出していただきたいのだが、
彼は多くの風景画の中で水面に映る月をこのように表現している。

munch_256[1]


水平線ぎりぎりに登った月明りが、一本の太い棒のように水面に突き出る。

実にストレートで、見ようによっては稚拙でもあるが、
てらいもなく見たままを写し取った感じで、彼の人間臭さに好感が持てた。


オスロでムンクと出会ってから数年後、カンボジアはトンレサップ川の川面に
私は同じ月を見た。

そして、(あー、ムンクは何の脚色もしていなかったのだ・・・・)
と確認することになる。

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~ '93年 カンボジア ~

「スピードボートと普通のボートがあるけどどっちにする?」

「何が違うの?」

「一晩で着くか、まる一日かかるか」

んー、値段は倍違うがその差額とは数百円のこと。
それでもバックパッカーにはちょっと躊躇するところだ。

だがスピードボートなら今夜の便にまだ間に合う。
目が覚めたら朝霧の彼方にアンコールワットが・・・・・

(よし決まり!ケチケチしてると旅にメリハリが無くなる・・ )

自分なりに大人の選択をしたと気をよくした私は
夕方には装備を一通りそろえてまた船着場に戻っていた。

装備というのは、船上で使うハンモックや一晩の水と食料だ。
キャビンはもちろん、大部屋の客室すらない船上で寝るのはハンモックの上。
それはここの常識らしい。みんな持参してくる。
舟に乗ったら真っ先にハンモックを吊って自分の場所を確保しろと
船着場のおじさんに教えられた。

チュバ着て・・


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